terunojou_51’s blog

しがない役者の生活録。

とある作家の家庭事情…。

お風呂に入りながら、ふと思ったことがある。

ふと思ったことなので、御批判を避けるためにぼかして書いてみる。

 

すでに鬼籍に入られた某有名作家。

作家としての才能は素晴らしく

いまだにこの作家の戯曲は絶えず上演され続けています。

プライベートに関しては割とめちゃくちゃな印象で

別れた先妻には子があり、後年娶った後妻と添い遂げている。

 

問題なのは作家の死後で、著作の権利が分断状態。

戯曲全般は先妻との子に、小説や随筆関係は後妻に渡ったのだ。

うん、まぁ何が問題かって、金銭的なことはわかりませんけど

作家の魂というか、生涯かけて発信してきたことまでも

分断されてしまったような気がしてならんのです。

同一であるはずの作家のアイデンティティがですよ

遺された家族たちの都合で分断されていまっている。

 

まぁ、それぞれに事情がありますから致し方ないんでしょうけど。

今の御時世、静かに軍靴の音が近づいてくるような不穏な状態を

この作家ならばさぞ皮肉まじりに野次ったり

警鐘を掻き鳴らすであろうことは容易に想像できるのです。

 

有名作家ですから、随筆や講演活動でも十分に耳目を集めることでしょうが

演劇を通してさらに多くの人々に伝播できる可能性を秘めていただけに

作家の死がもたらした反戦へのメッセージ性の損失は計り知れません。

 

元々私自身、かなり演劇に関わって生きてきましたから

演劇が持つ影響力は熟知しているつもりです。

また、演劇には多くの人が関わってきます。

出演俳優は言うに及ばず、演出、大道具、小道具、音響、照明、衣裳…等々

これに制作陣や各俳優の事務所、劇場なども深く結びついていますよね。

俳優のファン層も老若男女さまざまですし

戯曲を書いたのが有名作家であれば、そのファンも多く劇場に足を運ぶでしょう。

 

先ほども書いたように、こういう不穏な御時世です。

すでに故人とはいえ、そのメッセージ性が持つ力は絶大だと思っています。

それをうまく引き出して、世の中に提示し続けていくのが

遺された者たちの使命なのではないでしょうか。

 

イデオロギーを演劇に持ち込むのはナンセンスかもしれません。

そのナンセンスすら笑いと涙に変換できたのがこの作家の特徴でもあるのです。

いま新作が出るとするなら、どういった作品が生まれたでしょうか…。

 

「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」井上ひさし